桧粋の森・100年の命

桧粋の森で一本の大樹を伐採しました。
伐採に適している時期は水を吸い上げる前の今頃か、11月頃の季節だけです。
森に入り、桧、杉それぞれ十数本の候補の中から一本の桧を選びました。
悠然と立ち構える桧の大木、上を眺めていると天まで聳え立ってるように感じます。
100年以上もこの地で育ってきた桧。
私は桧の回りをお清めし、100年以上の命を預かり人の住まいに使わせて戴くことに感謝の気持ちを込めました。
その後、何も抵抗できない桧は人の手によってものの数分で切り倒れてしまいます。
ギーギーギー！　ミシミシ！　ドーン！！
高さ30メートルの桧は地響きとともに横倒しになりました。
必要なこととはいえ、何とも神妙な気持ちになってしまいました。
私もこれだけの太さの木を伐採するのは初めて体験しましたが、年月を戴くのってすごいことですね。
本当、大切に使わなければと感じました。
これから二か月くらいはこのまま『葉枯らし』と言って枝をつけたまま水分を抜きます。
その後、虫がつく前に皮を剥いで製材します。
人工乾燥をかければ夏ころには何本かの大黒柱や枝つきの丸太に形を変えて生まれ変わります。
その後、この桧は『人の命を守る住まいの柱』としてきっと100年以上生き続けることでしょう。